食卓は味噌の香りが充満していた。床はほうとうの汁で濡れている。全部こぼしたのは俺、犯人俺、でも原因は妻。毎度のように残飯のような料理を食わされてうんざりしている。特に今回のほうとうはぐでぐでの麺と汁のコラボが俺の堪忍袋の尾を破裂させた。
「なにするのよ」妻は自分が作ったものを無下に扱われてヒステリーを起こしている。はっ、これで頑張ったとでも言いたいのだろうか。
「お前の料理には愛がない」
 俺は数年間溜め込んでいたことを言ってやった。愛のない料理は不味い。俺が女だったらもっと美味いものを作る。
とにかくもう限界だ。愛のない結婚、愛のない営み、愛のない介護、愛のない死。俺は人生を誤ったのだろう。こんな女に引っかかってしまうなんて。
 次の日妻から離婚の話を切り出された。これは丁度良い、子供も居ないことだし、しばらく実家にでも帰って後々のことを考えることにしよう。ああ愛のない生活からようやく解放される。覆水盆に返らずというが、あのほうとうを御椀に戻すような無駄は絶対にしたくないな。
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